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 ←プレステ・ジョアンの国 毒針の脅威 →プレステ・ジョアンの国 哀愁のブラドー
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大航海小説

プレステ・ジョアンの国 悲しみを知る目

 ←プレステ・ジョアンの国 毒針の脅威 →プレステ・ジョアンの国 哀愁のブラドー
主な登場人物:ルシオラ→本編の主人公。やたら海賊に絡まれる可哀そうな冒険者。

ムッツリーノ(ニコラ)→ルシオラの副官で、参謀を務める。経験豊富な錬金術師見習い。

ブラドー(ランスロット)→ルシオラの副官で第二番艦の船長。直情タイプだが、いいヤツ。

名倉たち(船員)→いつも長距離航海に付き合わされる可哀そうな船員たち。

ハルム→ハルム=イヤード=ウッディーン。神秘教団『アスラーン』のメンバー。ルシオラたちに攻撃を仕掛ける。

サリム→サリム=イヤード=ウッディーン。神秘教団『アスラーン』のメンバー。ハルムの妹。


 モスクの扉が開け放たれる。そして砂煙がモスクに入り込むと同時に二人の人影が映った。暗殺者は不用意に動くことはない。それがルシオラに治療の時間を与えたことになる。

「ルシオラよ、覚悟してもらおう」
ハルムはマントを払ってダガ―を構えた。

「サソリの毒が、お前を殺す。だがその前に私たちがお前を殺す」
サリムの声だ。二人とも声に執念を感じる。

一体なぜ…

「フッ、暗殺集団というのはいつの時代も下衆な集団ですね。一人を殺すのにわざわざ二人で来るとは…燃費が悪いことこの上ないですね」
微かな笑みを湛えながら剣を握るルシオラ。汗はかいているものの、歩みはしっかりしている。どうやら毒はほぼ抜け切ったようだ。

「お前の部下には優秀な医者がいるようだな。常人ならすでにこと切れていたか、あるいは発狂したか…」
沈着な口調で話をするが、ダガ―をおろしている。微妙にプライドをくすぐられたようだ。ハルムはサリムに下がれと合図を送っている。

「やれやれ、私は貴方たちに関わった覚えはないんですがね…ただ、相手に殺気がみなぎっている以上、油断はできませんね。しかし、暗殺者が殺気をみなぎらせるとは…ただ事ではないということですか」

長台詞は相手の心理をくすぐる。その間に相手の動きを探る余裕もできるからである。

「問答無用!貴様は殺す!覚悟しろ!!」
ハルムは宙を舞うように暗闇のモスクでダガ―の雨を降らせた。




ルシオラはとっさにかわしたが、二本だけ鎖骨付近に刺さってしまった。毒の影響が抜け切れていないのか、明らかに動きは鈍い。

「くっ!飛剣すら避けれないとは…しかし、勝機はまだ潰えたわけではない」
ルシオラは再び立ち直すと一呼吸置き、バルムンクを構え弧を描くように体制を整えた。空気に乱れがない。

「これがサヴァンの構え…寸分の隙もねぇ」
ブラドーは改めて提督の腕前を再確認したようだった。

「毒の影響を最小限に抑えるための鉄壁の構え。なるほど、称号を持つに値する判断力だ。しかし、貴様は罪を犯した。我が父を殺した罪は重い。ためらいなく殺す!」
ハルムは力強く言った。ルシオラが驚きの表情を隠せずにいる。

「貴方の父を!?馬鹿な、私は罪人以外斬った試しはありません!」
一瞬手に力が抜けていく。

「問答無用!覚悟せよ!!」
そこを見計らったように斬りかかった。曲刀が懐から出されて、ルシオラの腕をとらえようとした。

ものすごい金属音の反響がモスク内を響かせた。ルシオラも斬り合いに対応するが、徐々に押されている。
ハルムは振りかぶって首を捕えに入る。しかし…

ハルムの刀はルシオラの首の直前で止まった。驚いているのは当然ルシオラだったが、ハルムから殺気を感じなくなったことだけはわかっていた。

「貴様…なんという悲しい目をしているのだ。このような男に、なぜ父を殺されたのかがわからぬ!」
ハルムは刀を納めて一歩引いた。サリムも兄の感情が分かっているのか、急に殺気を感じなくなっていた。

「私が斬った罪人は58名。すべて顔を記憶している。そして名前も…もし私が本当に貴方達の父を殺しているのであれば、その名を教えてほしい」
ルシオラはよろめきながらも剣を杖代わりにして立ったままでいた。

「…カシム=イヤード=ウッディーン」
この名前を聞いた途端、ルシオラがはっと表情を変えた。

「ウッディーン家の子息ですか。ご当主は殺してはいません。正確にいえば殺しかけましたが、真相を聞いて殺さずに帰ったんです。賞金首でしたが、それは過ちであったと」
ルシオラはその場に座り込み、静かに当時の様子を語った。

「もしそれが真実ならば俺たちは一体何のためにここまで来たのだ…」
困惑するハルム。

「それが真実だという保証はあるの?」
サリムが一歩出た。そしてルシオラの喉元にナイフを突き付ける。

「表向きは奴隷商。しかし真実は孤児をかくまっていた心優しき父君でした」
優しく語りかけるルシオラ。サリムもルシオラの目に真実を見た気分であった。

「では一体誰が父上を!?」
サリムは激昂したが、ハルムがそれをとめて、改めてルシオラに問うた。

「斬り傷は剣。しかもフランス騎士団がよく使う型だっという。時期も貴様が来た頃と一致しているのに」
納得は出来ない様子のハルムだが、ルシオラが嘘を言っていないことだけはわかっていた。

「それは…」

ドォォォォーーンッ!!

その時、街の北方からすさまじい衝撃音が聞こえた。

後のルシオラが記した航海日誌には、1518年10月14日の出来事と記されていた。


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