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大航海小説

プレステ・ジョアンの国 毒針の脅威

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主な登場人物:ルシオラ→本編の主人公。やたら海賊に絡まれる可哀そうな冒険者。

ムッツリーノ(ニコラ)→ルシオラの副官で、参謀を務める。経験豊富な錬金術師見習い。

ブラドー(ランスロット)→ルシオラの副官で第二番艦の船長。直情タイプだが、いいヤツ。

名倉たち(船員)→いつも長距離航海に付き合わされる可哀そうな船員たち。

ハルム→ハルム=イヤード=ウッディーン。神秘教団『アスラーン』のメンバー。ルシオラたちに攻撃を仕掛ける。

サリム→サリム=イヤード=ウッディーン。神秘教団『アスラーン』のメンバー。ハルムの妹。


 扉が静かに開いた。店主は当然のように鍵をしてあったが、暗殺集団には赤子の手をひねるに等しい無駄な行為にすぎない。

 ブラドーは気づいていた。何者かがこの寝所に近づいてくるのを。彼は昔の稼業のおかげか、素晴らしく野生の勘が鋭い。時には空気の流れで、異変を感じ取ることもできる。ルシオラとて万能ではない。頼れる部下がいてこその自分であるという思いは常に忘れてはいない。
「提督、俺がドアを蹴破る隙に、そこの窓から逃げてくれ。集合場所は西のモスクがいいかな。」
ルシオラは侵入者の存在をすぐに察知し、ブラドーの動きを探りつつ、掛け布団を片づけている。

バターーーンッ!!

大きな音に、寝ぼけた店主が悲鳴をあげるが、無残にもかき消された。店主は、片方の手によって殺されてしまった。

「なんてことを…」
ルシオラは、無念さをこらえつつ、西のモスクへと向かった。すぐ後にブラドーも駆けつけている。
騒ぎを聞きつけた近所の住民が、たいまつに火をともし、辺りを明るく照らし始めた。
すぐに街の衛兵も駆けつけてくることだろう。

「暗殺集団にしてはしくじりましたね。店主の悲鳴は大誤算だったはず。まさか…」
計ったようにムッツリーノが、北側の宿から駆けつけた。
「あなたですね、店主に細工をしたのは…」
ムッツリーノへ睨みつけるように視線を向けた。
「あぁ、しかし殺されるとはな。うまく隠したつもりだったのだが…」
しくじったという表情ではない。すべて計算済みのことであるようだ。

ブラドーが走る数十メートル先から砂埃が舞う。
やつらが追ってきているようだ。

「これ以上、住民を傷つけることはできない。モスクで我々がケリをつけなければ…」
ルシオラは、住民への哀悼を表しつつ、モスクへ向かう。幸い、足の速さに差はないようだ。

しかし…

「ぐっ!!」
強烈な痛みがルシオラの足を襲う。しかし、ちぎれてでも走らなければ、彼らに追いつかれてしまう。

「提督!?そうか、やつら窓から出る計算もしていたってことか。着地点付近に毒針を仕込んでおいたのか!」
ブラドーの言うように、ルシオラの足には三本の毒針が刺さっている。
ムッツリーノは並走しながら、「成分分析をしない限り手は打てん。ヤドクガエル系やトリカブトだとすれば、量によっては一大事だ」とルシオラに事の深刻さを説明する。

西のモスクが見えた。辺りは暗く、人の気配はない。毒がなければここがベストだったのだが、治療のことを考えると、帰って中心街に移動した方が良かったかもしれない。

モスク内部に着いた途端、ルシオラは勢いよく倒れた。
毒の進み具合は決して早くはないが、足裏が紫色に腫れあがっている。

「いかん、すぐに毒を抜かないと。壊死してしまうぞ」
満足な麻酔も未だない時代。ましてや緊急時とあって、荒療治しか方法は残されていない。

ブラドーはモスク入口にルシオラの指示に従い罠を仕掛けた後、辺りを警戒している。
当然相手もプロゆえに、すぐには突入してこなかった。治療のチャンスは今しかなかった。

「ひとまずな形で毒を摘出して、、、と。ふむ…こりゃあクラーレだな」
手際の良いムッツリーノに聞きなれない言葉を聞いたルシオラが、何かと尋ねた。
「クラーレは昔から使われている狩猟用の毒だ。場所や量によっては呼吸筋が止まる大変危険な毒物だが、遅効性なので、早急に対処すれば大丈夫だ。しかもこの薬を使うと…」
「あぁ、それはストリキノスの丸薬。なるほど、毒を以て毒を制するわけですか」
ルシオラはすべてを把握して、丸薬を丸のみした。少しでも痛みが取れれば、剣は握れる。
『サヴァン』の称号を持つルシオラにとって、剣を握れないのは屈辱と同意であった。

「さぁ、来なすったぜ」
ブラドーが彼らを迎え入れる。

後のルシオラが記した航海日誌には、1518年10月13日の出来事と記されていた。

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