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 ←プレステ・ジョアンの国 内地の恵み →プレステ・ジョアンの国 毒針の脅威
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大航海小説

プレステ・ジョアンの国 熱砂の青いサソリ

 ←プレステ・ジョアンの国 内地の恵み →プレステ・ジョアンの国 毒針の脅威
主な登場人物:ルシオラ→本編の主人公。やたら海賊に絡まれる可哀そうな冒険者。

ムッツリーノ(ニコラ)→ルシオラの副官で、参謀を務める。経験豊富な錬金術師見習い。

ブラドー(ランスロット)→ルシオラの副官で第二番艦の船長。直情タイプだが、いいヤツ。

名倉たち(船員)→いつも長距離航海に付き合わされる可哀そうな船員たち。

ハルム→ハルム=イヤード=ウッディーン。神秘教団『アスラーン』のメンバー。ルシオラたちに攻撃を仕掛ける。

サリム→サリム=イヤード=ウッディーン。神秘教団『アスラーン』のメンバー。ハルムの妹。


 トンブクトゥ。現在の西アフリカのマリ共和国内のニジェール川の中流域、川の湾曲部に位置する。砂漠の民トゥアレグ族の都市である。この時は、ソンガイ帝国に支配されており、西欧では「黄金郷」として知られるほどである。アラブ・ムスリムの学者たちも往来し学問研究も盛んだ。

 強い日差しが照りつける中、ルシオラ一行は街の有力者に挨拶をすることになった。挨拶自体は軽微なもので、行き当たりばったりで決まった宿に腰を降ろすと、今後のエチオピアへの行程を話し合うこととなった。

 行程はすぐにというわけにはいかず、意見が分かれていた。最初の案はムッツリーノが提案。イフォラ山地を越えて、アイル山地を通過、下山した後に、ティベスティ高原、エネディ高原を横断する。そこから青ナイル・白ナイルをまたいで、エチオピア高原に入るという行程だ。山地を何度も踏破しなければならないため、非常に時間がかかるが、身を隠しながら進めるという超安全策である。
 二つの目の案はブラドー。ニジェール川を逆走し、ベヌエ川を上り、チャリ・ウバンギ・ウエレ・白ナイルをそれぞれ川の流れに逆らいながら、エチオピア高原へ接続する形をとる。こちらは川の流れに左右され、見晴らしもよいため、『アスラーン』に見つかりやすいという欠点もある。しかし、ムッツ案よりは遙かに早く到達することが可能である。

ルシオラ一行が『アスラーン』を警戒し始めたのは、イエルワを発ってからすぐに襲撃にあったからである。明確に一行を狙っていることがわかった以上、行程も慎重に決めなければならない。

 ルシオラは決断すべき時を迎えた。

 夜の教会やモスクは薄気味悪さを覚えてしまう。しかし、トンブクトゥにある7つの霊廟はどれも別格だった。イスラーム建築の霊廟からは恐怖すらにじみ出ているようである。

 霊廟のひとつ、マンサ=モスクに二つの影がある。ともにムスリムであろうか。一人は背が高く、肩幅もあるのがローブの上からでもはっきりとわかる。顔は暗くてよく見えないが、何かしらのオーラを感じさえいるのだ。もう一人は小柄だが、ローブの切れはしから引き締まった筋肉が見える。女性なのだが、相当鍛えているのだろうか。

「ハルム、今日は確実に仕留めよとのご命令だ。絶対にしくじってはならない」
小柄な女性が体つきの良い男に話しかけている。

「サリムよ、俺はしくじらない。失敗など俺の辞書にはないぞ」
低い声だからか、余計に響いて聞こえるのだが、言葉に迷いは感じられない。続けて女性が口を開く。

「我々の目的は私的な問題だ。教団から許可が出たこと自体奇跡に近い。いくら共通のターゲットとはいえ、これはまたとないチャンスだ。教団内部には派閥も多い。ブルハーン派はこれを機に飛躍するのだ」
男は何かを言いたそうだったが、それを遮って急に身を降ろした。

『アスラーン』は単純なトップダウンの組織ではないようである。教団の歴史は古く、それゆえに権力基盤も多岐に及んでいる。彼らの目的は一貫して≪イスラーム社会へのばい菌駆除≫である。時にそれが同じムスリムであっても問題ではないようだ。現にこの二人は、すでに同胞を五人殺害している。

 二人は闇夜に紛れて、ルシオラ一行が泊まっている宿を目指す。ハムルと呼ばれている男は、左の太腿に毒蛾のナイフを携帯しており、ローブの内ポケットには胡椒の薬きょうが入っている。目つぶしには最適なアイテムである。一方の女性は、長い鞭を腰に巻きつけ、やはりローブの内ポケットには胡椒の薬きょうと火薬をつめた筒を携帯している。

 西洋圏の夜道であれば、平日に限るが酔っ払いがポツンポツンと徘徊しているところだが、イスラーム教徒にはアルコールを摂取することが禁じられているため、まず見かけることがない。彼らを追い出すパブもここにはない。砂けむりが時折巻き声をあげる程度だ。

 トンブクトゥの夜は静かだった。

「…ルシオラ、我が父の敵。必ず殺す!」
女性は力強く、そして低く、自分に言い聞かせるように言った。

 右の足の付け根付近に、青いサソリを携えて…

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